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【作品名】ゼロの使い魔 OP 【曲名】First Kiss 【歌手】Ichiko 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200 □■iTMS■□ 【作品名】ゼロの使い魔 ED 【曲名】ホントノキモチ 【歌手】ルイズ(CV 釘宮理恵) 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200 □■iTMS■□ 【アルバム名】ゼロの使い魔 キャラクターCD1 ルイズ&才人 【歌手】ルイズ(CV 釘宮理恵) 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200(*パーシャルアルバム) □■iTMS■□ 【アルバム名】ゼロの使い魔 キャラクターCD2 ギーシュ モンモランシー 【歌手】モンモランシー(CV 高橋美佳子) 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200(*パーシャルアルバム) □■iTMS■□ 【アルバム名】ゼロの使い魔 キャラクターCD3 タバサ キュルケ 【歌手】タバサ(CV 猪口有佳)、キュルケ(CV 井上奈々子) 【ジャンル】アニメ 【価格】各¥200(*パーシャルアルバム) □■iTMS■□ 【作品名】ゼロの使い魔 キャラクターCD4 シエスタ アンリエッタ 【歌手】シエスタ(CV 堀江由衣) アンリエッタ(CV 川澄綾子) 【ジャンル】アニメ 【価格】各¥200(*パーシャルアルバム) □■iTMS■□
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ゼロの使い魔 「なあデルフ」 「なんだ?」 「小さい頃の話していいか?」 「いいぜ」 「駅でさ、お婆さんが不良に絡まれてた。籠がぶつかったのなんだのって。 でも俺ガキだったから、助けるなんてできなくて見てただけだった。俺が強かったら、なんて思ったよ。 でも同時に、ほっとしたな。強かったら、助けにいかなきゃならねえもんなあ。強くったって、勝てるとはかぎらねえもんなあ」 「そうだねえ」 「そう。俺、強くなっちまった。力を手に入れちまった。もう言い訳できない。 あのときは力がなかったから、間に入れなくても言い訳できた。俺は弱いんだからしょうがないって。 でももう、言い訳できない。俺は今、 "強い" から。なにせあれだ。伝説のガンダールヴだからよ」 「うん」 「でもなあ……、強さったって外面だけだ。中身は俺、全然強くねえよな。なんも変わってねえ。 しょうがねえよな、ガンダールヴとか伝説の使い魔とか、いきなりだもんよ。覚悟とかできねえもんよ。 だからこういうの、柄じゃねえんだよ。みんなの盾になるとかよ、ほんとはすっごくイヤなんだよ。 怖くて震えるよ。死にたくねえよちくしょう」 「相棒はてんで義理がてえや」 「それが性分だからな。損すぎる」 「なあデルフ」 「なんだね?」 「俺、死ぬのか?」 「たぶん。まあなんだ、どうせならかっこつけな」 「なんで」 「もったいねえだろ」 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * ゼロの使い魔 「やいてないもんやいてないもんやいてないもん」 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * ゼロの使い魔 「さよなら、私の世界で一番大切な人」 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * ゼロの使い魔 「一年に二回。あんたとこれから、ずっといっしょにいたとして、三十年。いや、四十年かな? 五十年だったらいいわね……。そのときに見せるであろう、わたしの笑顔の回数」 「わたしね、もう、一生笑わない」 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * ゼロの使い魔 わたしね、もう一生笑わない。一生誰も愛さない * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * ゼロの使い魔 13 さようなら。わたしの世界で一番大事な人 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * ゼロの使い魔 13 一年に二回。あんたとこれから、ずっといっしょにいたとして、三十年。いや、四十年かな? 五十年だったらいいわね……。そのときに見せるであろう、わたしの笑顔の回数 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * ゼロの使い魔 13
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前ページ次ページいぬかみっな使い魔 いぬかみっな使い魔 第4話(実質3話) 「ひょうひゃひゃいへひょ!ひひょひょひひょ!」 「ほ~~う、そんな事言えるのかな、この口は。」 「いひゃいいひゃいいひゃいいひゃい!」 「誘拐犯が故意じゃあ無い女の子だからと優しくしてあげたのに!」 「ふゅるひてふゅるひて!」 「恩をあだで返すってのは最低だよ?」 「いひゃいいひゃい!」 啓太は思う様ルイズのほっぺを引っ張りこねくり回している。 ほっぺむにむにの刑だ。 口調だけはわざとらしくちょっと丁寧に、行動は丁寧どころではなかった。 あまりの事故にオールドオスマンもコルベールも頭を抱えている。 ともはねはひたすら啓太を心配している。ムジナのマロちんもだ。 そのため、ルイズを哀れんでくれるものは、この場に一人もいない。 啓太は、一通り飽きるまでルイズのほっぺをひっぱると、 ルイズを放り出してソファーに深く座りなおした。 主人とペットの地位確定のためのしつけ。今は充分だろうと判断したからだ。 「で、どうしてくれるんだ。解除方法無いんだろ?」 「は、はい、ありません。」 「ううう、痛い(涙)」 ギロリ、と啓太がルイズをにらむ。ルイズは小さくなって口を閉じた。 よしよし、効いてる効いてる。これならようこのように主人よりもえらそうに 振舞うことが当然、という関係に持っていけるだろう。 だがついでだ。もう一押し。 「まったく、美人でボインバインの優しいね~ちゃんならまだしも、 こんなちびで洗濯板の使い魔だなんて冗談じゃない!」 「なあんですってえ!」 「いひゃいいひゃいいひゃいいひゃい!」 「ほ~~う、そんな事言えるのかな、この口は。」 「ふゅるひてふゅるひて!」 即座のお仕置き再開に、ルイズはだまった。 終わったあとルイズが恨みがましそうな目でにらむが、啓太がちらと目をやると あわてて目を逸らす。充分恐怖を植え込めたようだ。 「礼儀もなってない。胸も無いくせに横柄な態度とるな。まったく。」 啓太のぼやきに、オールドオスマンが乗った。 「ほうほう! 君もかね! やはりおなごは胸が大きいに限るからの!」 「学長!」 コルベールが、必死の形相で止めた。オールドオスマンの下品トークで 啓太の機嫌を損ねたらまずいと思ったのだろう。 一方啓太は、ここで猥談で盛り上がっておけば、学院の最高権力者と ソウルブラザーになれて何かと便宜を図ってもらえるようになった、 かもしれないのにと残念に思っていた。 オスマンが咳払いをしてまじめな話に移る。 「う、うむ、なんとか解除方法を探しては見る、が。難しいじゃろうなあ。」 オールドオスマンが、はるか遠くを見る目になった。 むしろ、遠い過去を思い起こすような、というべきだろうか。 「私も調べてみます。しかし、まさか人を使い魔に出来るとは 前代未聞ですな。おや? なんだか珍しい形のルーンですな?」 コルベールが、啓太の左手を取り、しげしげと見つめる。 「普通と違うなら解除方法もあるかもしれません。 手がかりになるかもしれませんし、書き写させてください。」 「ああ。」 啓太は、素直にスケッチさせるままにしておいた。 それを聞いたオールドオスマンが、実に複雑そうな顔になる。 どう対処したものか、悩んでいるのだろうか? 「わしにも、見せてくれ。ふむ、これは! なんとな。」 オールドオスマンの目が、鋭く細められ、深いため息がもれる。 啓太は、この焼き印にも似たルーンが、実に気に入らなかった。 なにより、大妖孤の問題がある。迎えに来てくれたときにこんなものがあったら。 大妖孤が暴走し、結果として吉日市が壊滅状態になったのは、 “娘婿”である啓太が猫耳メイドというけったいな格好をする事を好む変態だ、 と誤解したことによる。その時、少なくとも途中までは長めのコートで ごまかせた事を考えると、隠しておいたほうがいいと思えた。 30分後。 「はい、もう一度手を出してください。」 「ああ。」 そこいらから適当にミス・ロングビルが引っ張ってきたメイドに、 啓太は手袋を作ってもらっていた。 「どうでしょう?」 指を覆う部分のない、伸縮性に富んだ素材で作られている手袋が形になっている。 「ああ、シエスタ。ありがとう、実にいい感じだ。」 「良かった。」 「右手の分も頼むよ。」 「任せてください。」 このメイドが器用なのか、出来は実に満足のいくものだ。 それに、と啓太は思う。黒髪に黒い目、どこか懐かしい雰囲気の清楚な少女。 なにより大きな胸。80センチは確実に超えているだろう。 85センチくらいあるかもしれない。 いい。実に良い。 確認して見たが、この学院は全寮制である故に多くの 若いメイド達が生徒や教員達の世話を焼くために働いているという。 全寮制ということは、若い女の子も沢山いるということ。 呼び出されたときに周りにいた女の子達の中にも、いい線行ってる のがたくさんいた。 啓太は、ふと自分の日常を思い出してみた。 好きになったようこには受験に合格するまではとお預けを食わされ。 時子やケイが日々壮絶な嫉妬の嵐を吹き荒れさせ。 ちょっと色目を使っただけで全身火あぶりにされていたあの日々。 しばらく、この世界で骨休めするのも良いかもしれない。 幸いというかなんと言うか、この世界にいなきゃいけない 理由も出来てしまったし。いいわけ自体はなんとでもなる。 沢山の女の子をはべらす理想をここで達成するのである。 となれば、出来るだけいい環境で暮らすための交渉を再開すべきだろうか? その後、啓太は「よほど大きくない限り使い魔は主人の部屋で寝泊りする」 という話に調子よくあわせ、しばらく女子寮内にあるルイズの部屋で 寝泊りするという話に持っていった。 「罰の一環として、ルイズを当面床で寝かせるため」にである。 また、啓太がマロちんに頼み込んで、ルイズの使い魔のフリをしてもらう、 ルイズもその演技をする、啓太の女子寮ぐらしはただの罰の一環として振舞う、 といった事が定められた。 魔法学院の制服を縫ってくれる事になったシエスタにも口止めである。 かくして、啓太が使い魔家業を案外あっさり受け入れた背景には、 “覗き環境最高”と“大奥在住”という二つの要素があったのである。 皆が学長室を出て行き、一人になったオスマンは、深いため息を吐いた。 「なんと言う運命のめぐり合わせじゃ… どう、したものかの… しかし、まだ確信はもてぬ。いや、確かめる勇気がわしにないだけか。」 オールドオスマンの苦悩は、深かった。 さて、夕食をすませルイズの部屋に移った啓太達は、雑談をしていた。 ルイズがさんざんごねたり高飛車に「主人なんだから使い魔は従いなさい」 と命令したりしたのだが、それらは全て啓太の“教育”によって封殺された。 今はルイズの家族について“なごやかに”話になっている。 「へえ、ルイズの下の姉さんは病弱なのか。」 そういって、啓太はルイズの髪に目をやった。 「当てて見せよっか? 君によく似たピンクの髪だろう?」 「な、なんでわかったのよ!?」 「そりゃあルイズの髪を見て病弱だと聞けばね。」 そういって、ルイズの髪をくしゃくしゃとかき混ぜる。 「ちょ、ちょっと、何するのよ!」 ベッドの上でごろごろしていたともはねが、いいなあ、という目で見ている。 「このピンクの髪はアルビノに近いんだ。黒い色素も、赤い色素もろくにない。 そういう髪の色なんだよ。そして、アルビノは基本的に体が弱いんだ。」 そういって、啓太は静かに説明する。 「哺乳類の髪には、基本的に色素が2種類しかない。黒と赤だ。 色素が無ければ白髪になる。 この3色の組み合わせでいろいろな 髪の色が出来る。黒+赤だと黒が勝っちゃうので黒。薄い黒+赤だと茶色。 茶色が薄くなると金茶色→金色に。ごくわずかの黒だと銀髪。 赤い色素だけが強いと赤毛になる。 赤すらわずかならピンクブロンドだ。 アルビノに限りなく近い。アルビノになる理由はいくつかあるけど、 色素を作れるほどの余裕すらないほど体が弱い、もしくは一部が弱っている、 というものがある。あるいは、メラニンが無くて紫外線を遮れないため その分皮膚がんなどになりやすい、というものもある。 いずれにせよ、基本的に体が弱いことを示す特徴なんだ。」 ルイズは、説明の半分も理解していないようだ。 「随分詳しいのね。お医者さんなの?」 「医者じゃないけど、医者志望だからね。そのための勉強を少しはしている。」 本当は獣医志望だが、この世界に獣医という概念があるかどうか疑わしいので より大雑把な医者として説明しておく。 「医者の卵なの!? じゃ、じゃあ、姉さまの病気を治す方法知ってる!?」 「ん、基本的には体を丈夫にする食べ物を食べて、規則正しく生活して 適度な運動をして、無理をさせずに、という療養方式だね。 あとは、やはり漢方薬かな。」 「カンポーヤク?」 「俺の故郷でよく使われている薬剤体系のことさ。最低でも4000年の 歴史があり体質改善には定評がある。ともはね。」 啓太は、ともはねを呼んだ。うれしそうに空を飛んで啓太の膝に収まる。 「なんですか、啓太様。」 「なあ、ともはね。養命酒みたいなものは、作れるかな?」 「体を丈夫にして体調を整える薬ですね。ごきょうやが害が無くて簡単なのから、 って課題出してたので、そのものずばり2ヶ月目くらいにだったか作りました。 レシピもありますよ!」 そういって、ともはねは自分のリュックを引っ掻き回し始めた。 移植しゃべる、ビニール袋、10得ナイフ、布の手提げ袋、 と言ったもののあとに、PSPが出てきた。 ともはねはメモリースティックを選んで挿すと、PSPの電源を入れた。 起動音が鳴り、メニュー画面が開く。 「何これ、きれい。」 「まあ、魔法の鏡みたいなものだと思ってくれ。」 ともはねは、素早く調剤レシピのアイコンを開いて検索を始めている。 「紙とペンを頼む。これを使うには特殊な魔力が必要なんだ。 そして、今のところその特殊な魔力の補給はかなり面倒なんだ。 長時間使い続けることは出来ない。だから、別に記録をとっておかないとね。」 ルイズがダッシュで紙とペンとインク壷をテーブルの上に用意する。 「ここを使って!」 ともはねが、机の上でさらさらとペンを走らせる。素直に言うことを聞いた ルイズに、よほど姉さんの事が大事なんだなと啓太は思った。 ちょっとはかわいげがあるじゃないか、と思う。 本当は、と啓太は思う。啓太のカバンに入っていたノートパソコンは、 百科事典と医学大全、漢方大全、獣医百科、化学大辞典などが入っている。 医師や薬剤師志望が多い館ならではのソフト取り揃えを片っ端から 入れているわけで、それを使えばもっとずっと詳しい治療法もわかるはずである。 しかし、啓太はまだそれをするつもりはない。まずは、充電方法を模索する 必要があるのだ。AC100Vの電源を作るのは難事だ。 このハルケギニアでは、導線1本、電圧計や電流計の作成から 始めなければならない。道は果てしなく遠く、そちらの検索にこそ バッテリーの電力を使わなければならないのだ。 ともはねのPSPは手動充電器があるから問題ないのだが。 あのノートパソコンは、こっそり起動試験をしたあと 電源を切り、バッテリーも抜いておいた。消耗を抑えるためである。 携帯も同様である。ノートパソコンからUSBで充電できるが、 ノートパソコンの充電そのものは出来ないのだから。 「はい、レシピが出来ました。」 啓太に持ってこようとしたともはねの手から、ルイズが強引に紙を奪う。 亜人などに礼儀正しくする必要はないということだろうか。 先ほどまでもたびたびあった、そこはかとない傲慢さが見て取れる。 「ちょっと! これじゃ読めないじゃない、ちゃんとわかる言葉で書いてよ!」 ともはねに紙を突きつけるルイズに、啓太は足払いをかけた。 「いたっ! な、何を一体!」 「しつけのなっていない小娘だな。お願いします、だろう、ルイズ?」 何事も最初が肝心である。誰がご主人様であるかを教え込まなくてはならない。 さもないと、後々まで舐められ、酷いことになる。 使い魔として奴隷扱い。冗談ではない。 啓太は、最初に持った犬神、ようこで懲りているのであった。 同時に、当時の自分の傲慢さを反省もしており、 それを自分に返されてはたまったものではないとも思っている。 因果応報とはこういうことを言うんだろうな、とは啓太の内心だ。 「なななん! あのね、私はヴァリエール公爵家の3女よ! しかもあんたの主人よ! 使い魔の癖になにするのよ!」 啓太は、ため息をついた。 「あのな。お前は爵位持ってないんだろう。しかも継承序列は3位。 つまりは、親の威を借りてるだけのただの平貴族だ。それをまず自覚しろ。」 「なななな!」 「お前に敬意を評している人はお前を見てるんじゃない。 お前が振りかざしてる親の影を見てるんだ。5歳の子供同士の喧嘩で、 親を呼び出して相手をぶちのめしてもらって喧嘩に勝ったと自慢する奴が かっこいいか? 親に頼らなきゃ何も出来ん無能にしか見えん。」 「な、何たる侮辱!」 「図星を指されて激昂するのもみっともないぞ。」 「そういうあんたはどれだけ偉いってのよ!!」 ルイズが、ぶんぶん腕を振るう。 「あのな、俺は13の時にはすでに一人立ちしているの。」 「それがどうしたのよ!」 啓太は、ひょいひょい危なげなくよけながら言い負かしていく。 ルイズはすでに何度目かのなみだ目である。 「俺は、13の時にはすでに魔法の力を使って怪物たちを倒し、 呪いを解きく事によって金を稼いでいた。学費も生活費も稼いでいた。 一族全てのやる慣習だからな、当然俺もやったんだ。 対して、ルイズ。お前はどれだけ貴族の義務を果たしている?」 「そ、そんなの、そんなの関係ないわよ! 私はまだ学生なんだからね!」 「人に養われている身分で、領民のために何一つ働いていないわけだな?」 「わるかったわね、私はまだ書生の身よ!」 「じゃあ明らかに俺のほうが偉いな。仕事で必要とはいえ、 この歳で10人以上も食わせるのは大変だったんだぜ?」 「き~~!(ぶんぶん)」 ルイズは、啓太が先ほどまでのようにおしおきをいきなりしてこないせいか ひたすら暴れている。もう先ほどまでの教育を忘れたとなると、前途多難だ。 「まったく。この小娘は高貴なる者の義務を知らないのか? 義務を果たしているからこそ、権利を主張できる。 えらい人はより多くの困難な仕事をし、義務を果たしているから偉いんだ。 ルイズ。お前はこの歳までに、何をやった? どれだけ領民の生活を良くし、どれだけお金を稼ぎ、 どれだけの敵から領民を守った? 領民が税を払うのは、領主がそういった 義務を果たしているから、そのお礼として、給与として払うんだ。 けして、血筋に払っているんじゃない。血筋に頭を下げているんじゃない。」 「何よなによなによなによなによ!(ぶんぶん)」 「話は戻るがな、使い魔が言うこと聞くのは、主人が世話をしてやるからだ。 寝床を与え、食事を与え、外敵から守り、健康管理をしてかわいがる。 全部領主の統治と基本は同じだ。お前はその義務を果たしていない。 俺に保護を与えているのは学長だからな。偉そうな顔をするな。」 啓太は、いくら暴力を振るってもまったくの無駄である、と教え込み、 徒労感を叩き込むつもりで手を出していなかった。 赤道斎のマントを着ていなかったら、それは成功していたであろうが。 がくん!! なんなくルイズの拳をよけていたその時、赤道斎のマントがベッドの端に 引っかかり、啓太の態勢を崩した。ほぼ同時に、毛布が引っ張られ、 それがルイズノ態勢をも崩す。振り下ろされるルイズの手が泳ぎ、 啓太のズボンに引っかかる。 啓太の学生ズボンを締めていたベルトは。 召喚のさいのショックで、壊れかけていた。 それゆえに。 引っかかったルイズの手で啓太のズボンとパンツがずり下がり。 フルチン状態になった啓太の股間に向けて。 態勢を崩したルイズの顔が猛スピードで倒れこんだ。 頭部や額での打突技はヘッドバットといっただろうか。 では、顔面での打突技は、なんと言うのだろう? 啓太「いで~~~~!!!」 ともはね「啓太様、大丈夫ですか!?」 ルイズ「いや~~~!!!!!!(水差しと洗面器にダッシュして顔を洗う)」 マロちん「きゅ~~~!!??」 ルイズの部屋は女子寮の3階にある。その3階の部屋のドアが、一斉に開いた。 「何!? 今の悲鳴!?」 「男の声がした!?」 「たしかルイズの声!」 「まさか!?」 杖をひっつかんだ女の子達が、ルイズの部屋に殺到した。 「「「「大丈夫、ルイズ!?」」」」 そこには。 顔を涙とよだれと汗(?)でぐしゃぐしゃにしてないているルイズと。 股間を押さえて痛みに耐えている男(+α)という状況で。 それはどう考えても強姦男が女に金蹴り反撃を食らったという図で。 「うう、穢れちゃった、穢れちゃった、私もうお嫁にいけない!」 「「「「お、女の敵~~~!!!」」」」 「わ、まて、誤か」 ちゅど~~~ん! 「ああっ! 啓太様!」 あらかじめ唱えていたキュルケの火炎魔法が啓太を窓の外へと吹き飛ばした。 キュルケ以外の女の子達が窓から追撃に移り、あるいは後方援護として 窓から啓太に追い討ちをかける。 「大丈夫、ルイズ?」 キュルケが心配そうにルイズをなだめる。 「うう、うわ~~ん!!!!」 “寝る”ために薄物の夜着に着替えていたキュルケの胸にすがるルイズ。 混乱した頭は、相手が誰かということすらもう関係なくて。 宿敵が自分の胸に取りすがって無防備に泣いていると言う状況に、 キュルケはなんとも得体の知れぬ快感を味わった。 「大丈夫、私がいるから。さて、あなたをこんな目に合わせた奴に おしきしてやらないとね。」 「え、あの、うむぷっ!!」 何か言いかけるルイズを胸に強く抱き、キュルケはフライを唱えると 窓から飛び出した。地に下りると同時に啓太に魔法攻撃を叩き込む。 ズボンはルイズの部屋に落ちており、下半身はパンツ一丁の啓太は。 「だ~~~!!! お前ら話を聞け~~~!!!!!」 等といいながら必死に防戦していた。しかし、何しろ数が多い。 相手は女の子で攻撃もままならない。こんな状態では 赤道斎のマントでも完全に防げるわけでもなく、 パンツが黒焦げになる→剥がれ落ちてフリチンになる→もっと攻撃される という事態の悪化を招いたのであった。 かくして。 「な~~んだ、そういうことだったの!」 「そうだ! ルイズへの罰として俺はルイズの部屋に(後略)」 「ちゃんと説明してくれたらよかったのに。」 「お前ら問答無用で襲ってきたんだろうが~~~!!」 誤解が解けるまでには、ルイズが何とか落ち着き、 彼女達が魔力切れになるまで待たねばならなかったのであった。 かくして啓太は、シエスタをまたも呼んで、パンツを作ってもらう羽目になった。 緊急なので紐パンみたいになってしまったが、我慢するしかなかったそうである。 余談: 次の日の放課後からともはねは薬草探しを始め、数日後には 養命酒ともはねスペシャルがヴァリエール家に送られることになる。 それには啓太のさまざまな生活や食事上の注意事項が添えられていたそうだ。 前ページ次ページいぬかみっな使い魔
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【曲名】 こめかみっ! 【アーティスト】 櫻奈美優 【歌詞】 【作詞】 鶴田重久 【作曲】 中谷信行 【編曲】 【作品】 越野七米神物語こめかみっ! 【メディア】 地域活性化キャラクタープロジェクト 【テーマ】 テーマソング 【初出】 2013年 【備考】 福岡発の萌え米キャラクタープロジェクトによるショートアニメのテーマ曲。中盤にラップパートあり。サビもややラップ調です。 越野七米神こめかみっ! 公式サイト http //www.komekami.net/index.html
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前ページ次ページいぬかみっな使い魔 いぬかみっな使い魔 第9話・前編(実質8話) 「わかったんです…僕。あの神様達の言っていた意味」 啓太に何度も助けられ、啓太を何度も助けた猫又の留吉は言った。 「どんな困難な試練でもきっと。全ての力を使えば。仲間がいれば。 そう。いつだって仲間がいればその仲間たちの持ってる全ての力が すなわちその人の力なんだ。ならば、僕だって。 どんなに微力でもきっと啓太さんの力だから。だから僕が!」 人は一人ではない。社会を作るからこそ文明を維持でき、 だからこそ人間である以上人間は絶対に一人では無い。 必ず仲間がいる。助けてくれる、頼りになる、頼もしい仲間がいる。 霊能力を持ち、人以外の存在とも交渉のある犬神使いは。啓太は。 人以外の者たちをも仲間と、友人としていた。 だから。 「そうさ。俺たちが力をそろえれば」 啓太は、はっきりと晴れやかな顔で神に向かって言った。 神に向かって、直接、言い放った。 「俺たちと犬神が、人間とそうじゃない者が、違う種族の者同士が、 同じ心を持って戦えば。きっと神様の試練にだって打ち勝てる!」 神や亜神クラスの妖怪、その妖怪を圧倒することすら可能な大魔道師。 無数の妖怪。彼らと対等な付き合いをしてきた啓太は、 史上最大の試練を乗り越えた。啓太は神の摂理すらをも捻じ曲げさせたのだ。 だから。 啓太は、友情を、人付き合いを大事にするようになった。 ともはねと啓太は、ミス・ロングビルの指導の下、補習授業を受けていた。 その内容は本当に基本的なものから始まっている。 例えば初日の最初の授業はこんな感じだ。 「「あーべーせーてー」」 「マリエーヌはハチミツのビンを持ってくるとくまさんにあげました。」 アルファベットの読み書き、発音、聞き取り。 そして簡単な文章の読み聞かせである。だが、それはわずか半日で終わった。 とにかく啓太達の学習速度が異常に早いのだ。 アルファベットや簡単な読み書きという、それだけで数週間はかかりそうな 内容をその日の午前中の内に覚えたのである。 「このときに左手で帽子を取ると同時にお辞儀をします。姿勢は…」 「100サントで1メイル、1000メイルで1リーグ」 「1エキューが100スゥ、1スゥが100ドニエ。1エキューは1万ドニエ。」 簡単な単語の勉強をかねた礼儀作法や常識、単位系や政治制度。 「大公、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、準男爵、シュヴァリエ(騎士)。」 「トリスティン、トリスタニア、ガリア、リュティス、ゲルマニア、 ヴィンドボナ、アルビオン、ロンディニウムアウソーニャ半島、ロマリア」 次の日からは単語の勉強を兼ねた地名+名物+簡単な風俗。 その学習法は絵本や子供用の旅行記、昔話やこっけい話、 と平易な文章であれば何でもいいとばかりに多岐にわたって勉強した。 ルーンの習得も午後の授業で覚え、つたないながらもルーンを唱えた。 杖が無かったので発動はしなかったが、次の日には借りた杖で発動しかけた。 二人とも、である。 「まったく、とんでもない生徒ですわね。」 「本当に自分でも信じられない学習速度だ。です。たった2日で あらかたの文章は読めるようになっている。います。 魔法的な支援があるということですかね。」 「お心当たりはありまして?」 「外国なのに最初から話すことに支障は無かった。まるで猛省蘭土だ、 とはすぐに思いました。あの時の感じによく似ているぜ。似ていると思います。」 「メンシェンラーツ? なんです、それ?」 啓太の説明に、ミス・ロングビルが聞き返す。 「一年ほど啓太様が修行に行っていた仙界ですよ~~~」 「センカイ?」 ともはねが説明するが、ミス・ロングビルには意味が通じない。 「え~~と、ハルケギニアでは(1巻P123)“かつて神々を味方につけた 始祖ブリミル”を信仰しているんだよな? ですよね? 俺たちの国では直接神様を信仰しています。その神様達の一部が 地上近くに下りてくる異界がいくつもあって、それが仙界です。」 「か、神を直接!? しかも神の世界で修行!?」 「上級の神様達の世界じゃないですけどね。神様は神様ですから言葉の違う人と 話すくらいは造作ないんですよ。その時と感じが似ているなと。」 ロングビルが、啓太の強さに納得したと同時に心配そうな顔で忠告する。 「…あの、そういうことはあまり言わないほうがいいわよ?」 「へ?」 「始祖ブリミルと同じことをしていると言うなんて不遜だ、冒涜だ、 とみなされて、異端審問にかけられるかもしれないわ。」 「なるほど。しかし、神との交渉が異端審問で有罪にされるねえ。 それこそ始祖ブリミルの行いを非難するという異端行為で有罪になりそうな。」 「そういう言葉遊びの問題じゃないのよ。」 ロングビルの、諦観と気遣いの入り混じった言葉に、啓太も考える。 「ふむ。こっちでもキリスト教徒の異端審問はえげつなかったしな。 とにかく坊主どもが権力振りかざす口実に無茶苦茶していただけだが 逆らうとまずかったのは確か、か。おし、以後そっち系統のことは 触れないことにします。出来れば今日のあれこれも内密にしてくださると ありがたいです、ミス・ロングビル。」 「ええ、私はあなた方のかわいそうな状況を理解しているから、 硬いことは言わないつもりよ。」 「ありがとうございます。」 啓太は、深々と頭を下げた。 「話を戻すけど、この学習速度に心当たりは?」 「話し言葉を自動的に翻訳するような魔法的な補助が最初からあった。 それが読み書きの習得にも補助をしてくれているんだと思います。」 「なるほどね。確かに、使い魔にするとたまに動物が人の言葉を 話すようになるという例があるわ。使い魔となることによって他にも 特殊な力が目覚める事は時々あるし。その一つなのかしらね。」 「特殊能力が、ね。」 啓太は、両手とも手袋をしていた。指を覆う部分の無い、 薄手で伸縮性に富んだ布地で作られた手袋だ。 その左手、手袋に隠れたルーンの位置に目をやる。 決闘騒ぎの時に武器を握ったら異常なほど体が良く動いた。 異常なほどに。左手のルーンが熱くなることにも気づいたので、 その後いろいろと実験もしていた。包丁や物干し用の棒では反応しなかった。 木剣でも反応しなかった。しかし、衛兵に借りた槍や短剣では反応し、 啓太の速度や筋力が向上した。精密な動きも出来るようになった。 そして、左手のルーンが光り、そこに霊力が吸われるのを確認した。 そこで物干し用の棒を1本貰い受け、六角棒に削り込んでみた。 そうしたら、ルーンが反応した。使い手の腕によっては岩をも砕く六角棒。 どうやら、このルーンは“武器として作られたもの”に反応するらしい。 思うに、身体強化系の魔力回路を焼きこまれた、といったところだろう。 これもまた使い魔の特殊能力ということだろうか。 主を守る事が重要な役目だそうだから、それを強化しているのかもしれない。 だが、それだけでは説明できない。 まるで、己の知能までもが上昇している気がする。 だとすれば、とんでもないメリットだぞ。ほかもそうなのだろうか? 啓太はそう考え、聞き込みを行った。 そして、使い魔が大抵普通の動物よりもはるかに難しく複雑な行動を取り、 主人の命令を高い知能を持って遂行しているらしい、と結論した。 召喚されてすぐにそれである。啓太は面白がって、いろいろなことに 首を突っ込んだのだ。そう、例えばルイズの能力開発にも。 一見無駄と思えるものでも利用できないか考え、有効に活用する。 それは、一発大逆転な成功の鍵である。 接着用の糊を開発していたのに弱い接着力の糊しか出来ない、 と嘆いていた研究者は、「それは素晴らしい発明だ」と上司に言われて仰天した。 その糊は、付箋紙という、「短時間くっついていてすぐに汚さずはがせる」 ことが重要な商品作成の肝となった。 石炭は内部に含まれた水分と硫黄分が製鉄時の質を落とし、 今ひとつ使えなかった。それゆえに膨大な量の木が切り倒され、 炭とされて製鉄に使われ環境破壊が起こった。しかし、19世紀に 石炭を焼成し、コークスに加工する技術が発明されて以来、状況は一変した。 石炭はコークス作成に無くてはならない原料として採掘され、 焼成のさいに硫黄と言う重要な副産物を得られる事により、 火薬作成の面からももてはやされた。 これらを思い出した啓太は、ルイズの失敗魔法についてアドバイスを行った。 「爆発するなら充分成功さ。戦闘でどれだけ使えるか、考えたことあるか?」 それを聞いた時、ルイズは、ぽかんと啓太の顔を見つめたという。 「短い呪文でも爆発させられるか、短い呪文でも威力は同じか、 射程はどれだけか、試して見るといい。問題は、どれだけ制御できるかだ。 狙った場所に当てられなければ効果は無い。失敗と思わず、力を抜いて、 狙った場所に当てられるようにすることだけ考えて練習してみな。」 この瞬間から、ルイズには心の余裕と向上のための 明確なビジョンが見えるようになった。 「今までは失敗しないようにって魔力を出来るだけ込めていたわ。」 ルイズは、後にキュルケたち友人に向かって語ったという。 「でも、それからは制御を目標に回数をこなさなきゃ、 って思うようになって、込める魔力を出来るだけ抜いてみたの。」 満面の笑みを浮かべて、うれしそうに語る。 「そしたら、不思議と狙った場所で爆発できる確率が増えたの。」 火メイジならば、もう一歩制御できれば一人前のドットとして胸を晴れる。 同時に、武器戦闘の訓練も啓太から受けていた。 「素早さという長所を生かせ。」 啓太は、実際の戦闘で必要だからと、武器戦闘訓練を勧めたのだ。 「戦闘に慣れれば、攻撃魔法を巧みに使えるようになる。 素早い敵の動きを見切る目を養い、素早く照準を定める反射神経を高め、 体力をつけて消耗に耐える心身を作る。一つのことだけ訓練しても、 限界はすぐに来る。線的に力を伸ばすより面的に修行したほうがいい。」 ルイズは、わずかな助言で己を着実に磨いていた。 その一方、コルベールもまた、着実な成果を上げていた。 数日間コルベールは図書館で調べ物を続け、同時に魔法特性を 見極めようとルイズを呼んで様々な試験・実験を行った。 ルイズはその時、補習として通常の授業を休んでいる。 実験と調べ物が一段落すると、コルベールは オールド・オスマンの部屋に啓太達毎ルイズを呼んで説明を行なった。 「ミス・ヴァリエールの得意系統は虚無である可能性が高い。」 と。 コルベールはガンダールヴのルーンから虚無と推測したくだりを説明した。 そこから、さらに推し進めた推測を語る。 「ミス・ヴァリエールの系統は虚無と推測されます。 ミスヴァリエールの魔法は、どんな系統魔法の呪文でも、 どんなコモンマジックの呪文でも結果はほぼ同じ、爆発です。 しかも普通の魔法ははじくはずの固定化がかけられた物質を、 いともあっさり破壊してしまう。4系統ではありえない。ならば虚無でしょう。 私は、最初、個性的な才能故に通常の呪文はもともと使えない、 齟齬が起きて呪文が暴走し、爆発するのではないかと考えました。 が、それは違うとすぐに気づきました。」 学長室に呼ばれた一同が、固唾をのんで聞いている。 「始祖ブリミルは4系統魔法を神々から与えられました。 その後さらなる力として虚無魔法を神々から与えられました。 始祖ブリミルは虚無だけでなく4系統魔法も使用できたわけです。 ならばミス・ヴァリエールも4系統魔法をも使えるようになる、はずなのです。」 「では、なぜ魔法が失敗してしまうのか? どうすれば魔法を使えるようになるのか? 私は悩んだ末、基本に立ち返ろう、と考えました。この古代ルーンで 書かれた魔道書を見てください。昔のものなので洗練されておらず、 効果が低い上に消耗も激しく、長い詠唱が必要な呪文が多数記されています。 そう。始祖ブリミルが、4系統と虚無系統を同時に使っていた頃の呪文です。」 「これを読んで現代の魔法と比べてみた所、大変な発見をしました。 現代と始祖ブリミルの時代では基本となるルーンすら進歩しており、 呪文も改良が続けられて別物となっています。 現代のコモンマジックはそのほぼ全てが4系統魔法の簡易版です。 すなわち、4系統のいずれかに属している。効率的だからそう改良されたのです。 それに対し、昔のコモンマジックは4系統のいずれにも属さず、 純粋に精神力を元に魔法を発動させているのです。」 「どんな才能あるメイジでも、最初は簡単で得意な魔法から練習していきます。 まずコモンマジックを習得し、応用を広げていく。 普通の4系統の素質を持ったメイジが、4系統型のコモンマジックを、です。 これに対し、ミス・ヴァリエールは虚無系統の才能です。 つまり、これら4系統型コモンマジックは、 ミス・ヴァリエールの得意系統ではなかった。 いきなり不得意な系統呪文型コモンマジックでは失敗して当然であり、 “感覚をつかめない”まま“いびつな癖が”付いてしまって当然です。 それゆえに失敗ばかりしていた。 そう考えられます。 逆に言えば。 4系統を取り込む以前の、古代コモンルーンから習得していけば、 普通に魔法を使えるようになるのだと思われます。」 ルイズは、感動していた。 「それじゃあ私は!」 「うむ、素晴らしい個性を持っていた可能性が高いわけじゃの。」 「まさしく啓太君の言うとおりだったわけです。あくまで、 可能性の段階ですけどね。これから実際に呪文の練習をしてみて、 習得できて初めて才能が証明されます。証明できます。」 ルイズの目から、涙があふれ出る。 「ありがとう・・・ありがとう、ございます。」 「良かったな。」「良かったですね。」「きょろきょろきゅ~~~」 「ですがまだまだ可能性の段階です。特訓、受けますよね?」 「はい! ぜひにも!」 「では、一つ約束してください。」 「はい、私にできることなら何なりと!」 「では。」 コルベールは、厳かな声で粛々と諭した。」 「おごってはいけません。謙虚さを忘れないでください。」 ルイズは、きょとんとなった。なぜそのようなことを言うのだろう? 「始祖ブリミルは4系統全てに加え虚無系統の魔法をも使っていました。 すなわち、最低でもペンタゴンメイジであった事になります。 ミス・ヴァリエール。まだ推測でしかありませんが、 あなたは人としてほぼありえない、ペンタゴンメイジに成長しうる 可能性があるということになるのですよ。ですが。」 その後を、オールド・オスマンが引き継いだ。 虚無の才能と伝説の使い魔ガンダールヴを得たと驕り、高ぶり、 戦争の口実にしかねない宮廷のえらいさん達の悪癖を。 「まだしばらくは秘密にしておくのじゃ。戦争の口実に使われ、 国中を不幸にしたくはあるまい? わしらは、国中を不幸にした生徒を 指導した、なんぞといわれとうは無い。お前さんも言われたくはあるまい?」 「はい。」 神妙な顔でうなずくルイズに、オールド・オスマンは好々爺然の笑顔で言った。 「まだまだ実力も足らんしの。精進するのじゃぞ!」 「はい!」 「では、ミス・ヴァリエール。これが、古代の魔道書です。」 コルベールが、分厚い本を何冊も渡す。 「呪文自体に危険性は無い。じゃから貸与してもかまわんじゃろ。 とはいえ貴重な魔道書じゃ、やる事はできん。書写するんじゃ。」 「はい!」 ルイズは、簡単な…ごく簡単なコモンマジックを、次々と習得して行った。 それは同時に、ルイズに自信と基本的な魔法制御技術を身につけさせ、 失敗=爆発魔法の制御にも大きく寄与していくことになるのである。 虚無の曜日。魔法学院から早馬で3時間、徒歩7~8時間ほどの距離にある トリスティン首都トリスタニアのポーション(薬草)屋にて。 集めた薬草の売却値交渉が終わると啓太はこう言い出した。 「ルイズ。今日はおもちゃ屋に寄るぞ。」 「おもちゃ? あなたその歳でおもちゃなんか欲しいの?」 ルイズは、随分と落ち着きいた態度で受け答えをするようになった。 自分はもう無能ではない。その自信が、ルイズの根本に余裕を生んだのだろう。 「ともはねにごほうびを買ってやりたくてな。」 ちらりと横目で見ると、ともはねもうれしそうに笑みを浮かべて こちらを見ている。その後、すぐにまた薬草の物色と値切り交渉に戻る。 やはり近場で採取できる薬草では種類が足りないため、買い込む必要があるのだ。 そのかわり、いろいろなポーションを調合して売っているので 収支はすこぶる良い。啓太が仙術の一種…薬に霊力を上乗せして 効果を高める…をしているので“東方(の秘薬)シリーズ”として プレミアも付いているらしい。 コルベールの協力で発電機を作ってパソコンの充電が出来るようになってから、 作れるポーションの種類は飛躍的に増えている。 代金を受け取り店を出ると、外には、薬草の搬入が終わって 一息ついていたギーシュとモンモランシーが乗った馬車が待っていた。 「ああん、待ってください!」 ともはねがいろいろな薬草を抱えて店を(文字通り)飛び出てくる。 啓太とともはねの服装は魔法学院の制服に変わっていた。 ただ、ともはねはマントをつけていない。そこが違う。 通行人は耳と尻尾の出たともはねを見て、亜人の使い魔に 同じ服着せてるな、としか思わないため特に期気にすることも無い。 「あ、ダンナ! カウワーヒェラのダンナ! 忘れもんですぜ!」 マントをつけた店主の親父が木箱を持って出てきた。ルイズが顔をしかめる。 「ほら、器を返すのを忘れてました。次も頼みますぜ。」 木箱の中には、カエルの浮き彫りが施され、こちらでは見かけぬルーン の書き込まれた壷がたくさん入っている。啓太が大地の霊力を こめるのに都合がいいからとギーシュに頼んで作ってもらった石壷だ。 「何度見ても趣味最悪な壷ね! 何とかならないの!?」 初めて見た時は盛大に悲鳴を上げていたルイズである。 カエルが大の苦手なのだ。啓太のチェーンネックレスも気にくわない。 「しょうがないだろ。これが一番都合がいいんだ。」 「まあまあ、ルイズ。ほら、こうしてふたをしておけばいいだけだろう?」 ギーシュがフォローする。彼は上機嫌だ。 「モンモランシー、この後どこか服屋にでも寄っていかないかい?」 「なになれなれしくしてるのよ! 私は二股を許したわけじゃないのよ!」 「まあそういわずに。」 金、ともはね、薬草、覗き、戦闘訓練。薬草クラブに入る理由は さまざまだが、ギーシュは女子部員が目的のようだ。 「おい、頼んでおいた服を受け取らないといかんから行く事になるぞ。 喧嘩しないでくれ。その後どっか酒場で食事にしよう。 午後からは俺たちおもちゃ屋に寄るつもりなんだ。付き合ってくれ。」 ギーシュが、ぐっと親指を立てる。用足しに名を借りたデートに大満足だった。 「だからケータ君に心酔して付いて行くという奴が後を絶たないんだよな。」 本当に必要なとき、必要な援助を与えてくれる。 本当に助けを必要としているとき、来てくれる。 啓太にはそんな不思議なところがあるのだ。 ※特徴:都合のいい偶然 15CP/30CP ※特徴:不幸/厄介ごとに巻き込まれる-10CP 前ページ次ページいぬかみっな使い魔
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前ページ次ページいぬかみっな使い魔 第2話です、1話は没になったので第2話からです(涙) 川平啓太。歳は18歳、身長178センチに茶色の髪、 光の加減によっては緑にも見える日本人には珍しい色合いの目を持ち、 雰囲気はどこかいたずら小僧を思わせる。犬神使い川平家直系の少年である。 犬神使いとは犬神という人妖を使役する者を指す。方術を身に着け、 夜の闇に巣食う悪霊妖怪を調服するのを生業としている。 こう見えても独立してすでに5年目。基礎霊力は1年以上前ですら890、 今はどれくらいになっているのやら、というエリート中のエリートである。 そんな彼の朝はいつも修羅場である。 複数の女の子達が啓太の気を引こうと争い、暴力沙汰になることも珍しくない。 今日も今日とて、彼の住む洋館では、修羅場が始まっていた。 「ふっふふふ! お退きなさい、偽高校生! 啓太君は私の車で学校に行くのよ!」 驚くほど見事な真っ白い長髪。金と銀で細工された大きな蝶の髪飾りをつけた 十六、十七才ほどの鮮やかな印象の美少女が、啓太の通う高校の セーラー服姿で大見得を切った。 「あのな、時子。勝手に決め付けるなよ!」 赤道時子に、啓太が突っ込んだ。 「ほーっほっほっっほっほ!! 川平君はあなたと一緒に行きたくないそうよ、変態!」 新堂ケイが、あくまでも優雅に赤道時子に喧嘩を売り返す。 ゆったりと波打った腰まである黒髪、はつらつとした笑顔と整った美貌。 着ているセーラー服はやはり啓太と同じ学校のものだが、裾やスカートを 長く延長する改造をし、レースのリボンや付け襟、付け袖を追加。 どことなくアンティークドールを髣髴とさせる印象の少女だ。 「ほっほう、言うわね、年増! なんなら今すぐ塵も残さず消してあげましょうか!?」 「ああら、いかにも邪悪な魔道師の子孫ね! そんな事したらあなた 邪術師認定されて政府から退治される事になるわよ?」 「なによ、今の法律では不可能犯として罪にならないわ!」 「裏ではそんな事関係無いのくらい知ってるでしょう? 呪殺は昔っから大罪よ。一族にまで累が及ぶような、ね。」 「お~~っほっほっほっほっほ! 特命霊的捜査官達なんて怖くありませんことよ!」 恐ろしいほど強い言霊使いの赤道時子の霊圧をこめた凄みに、 新堂ケイはまったく臆せず対抗する。死神に狙われ続け、 3神の試練でも修羅場を潜り抜けたが故の経験が物を言っているのだろうか。 二人の放つ恐ろしいまでの気迫は、あたりの空気を振動させそうなほど怖い。 「ほっほおおおぉぉぉぉう!? 退治に来るのが川平君でも?」 その指摘に、一瞬赤道時子の余裕が崩れる。 「殺された私のために川平君が邪悪な変態魔道師を退治してくれるのね。 あなたは永遠に嫌われ、私を守れなかったと川平君は一生私のことを思ってくれる。 それはそれで素敵だわ。」 「何勝手に私の啓太君をドリーム入れてんのよこの年増! エセ女子高生!」 「お、おい、だから毎朝毎朝こういうのやめろって!」 止める啓太に横から割烹着姿で黒髪の少女が抱きついてしなだれかかる。 「啓太、あんな二人ほっとこ。私が縮地で送ってあげる!」 お尻からは金色の太い尻尾がドロンと生え、ばさばさ振られている。 啓太のいぬかみ筆頭、ようこだ。 いきなりスキンシップを見せ付けられて時子が激昂した。 「離れろいぬっころ! 勝手なまねしたら殺すわよ! 離れなさいったら!」 「そうですわ、ようこさん! それは協定違反ですわ!」 「ああこわいこわい(ぎゅ)」 「む! ああん、わたしもこわい!(ぎゅ)」 そういって新堂ケイが啓太の反対の腕に取りすがる。 「離れなさい新堂ケイ! それ以上私の婚約者に手を出すならぶっ殺しますわよ!」 「誰があんたの婚約者よ!」 「誰がお前の婚約者だ!」 「ていうかケイ、離れなさいよ!」 「呪殺すればいいでしょ、川平君に永遠に嫌われてもいいならね!」 「くっ! 言うわね! でもそれは術を使わなければただの喧嘩ということ! 二人まとめて生皮はいでやりますわ!」 「やるの!?」 「やらいでか!」 「やったろうじゃん!」 怖い。ひたすら怖い毎朝の風景である。 場所は川平光(このSSでの薫の本名。本編14巻ですら仮名のままなのがかわいそう なので適当につけてみました。すでに公式で出ているなら変更します。情報求む) の館のリビング。 玄関脇には黒塗りのでかいベンツとリムジンが乗り付けている。 赤道時子と新堂ケイの二人が乗ってきた車だ。 なんとか抜け出した啓太は、リビングの片隅にいた光の隣に退避して愚痴をこぼした。 「うう、光、俺もうやだ、こんな生活。」 「大変だね、啓太さん。」 「なんで毎朝毎朝あいつらは!」 「いつものようにジャンケンで決めるように言ったら?」 「なんかずるをしている奴がいるとかで禁止になったんだそうな。」 いよいよ平和的解決手段のネタがなくなってきた。 どうしたものか。二人は深刻な顔で相談していた。その一方。 川平カオルとせんだん、ごきょうやは、我関せずと朝の紅茶タイムである。 「カオル様、もう一杯いかがですか?」 「ありがとう、せんだん。もらうわ。」 「ごきょうやはいいの?」 「ごめん、ここを読んでから。」 ごきょうやの広げているのは難しい医学書である。電子版も買ってあるのだが、 やはり本の形で読んだほうがいい派なのである。 その後ろにある窓の外をたゆねが走っていく。ロードワークしているようだ。 なぜか背負子にボーっと空を見上げているてんそうを乗せている。 ウェイト代わりだろうか。古城の精霊達も「う~」「や~」「た~」と併走している。 なでしこは河童と一緒に洗い物の最中だ。 いぐさは日経新聞片手にフラノから役に立ちそうな予言を引き出せないか奮闘中。 そこに、収穫してきたばかりの果物を剥いて皿に盛り、いまりとさよかが入ってくる。 が、皿をテーブルの上に置くとそそくさと出て行く。とばっちりを恐れたのだろう。 いまだにようこ、時子、ケイの3人は嫉妬と怒りのオーラを発散しながら口げんか中だ。 と、開きっぱなしになっていたドアから、ツインテールの十二才か十三才くらいの、 溌剌としたかわいい少女が顔と手だけを出し、おいでおいでをする。ともはねだ。 手に持っているのは赤道斎がプレゼントしてくれた白銀のマントである。 啓太は、そ~~~っとリビングを出ようとした。 「「「逃げるな!!」」」 期せずして張り合っていた3人の声がそろった。 「に、逃げるんじゃなくてマント着るだけだ! いいか、20秒以内に 誰なのか平和的に決めろ! さもないと俺はお前ら全員置いて行っちまうぞ!」 そういって部屋を出る啓太。3人はさすがに黙った。 以前この3人で啓太争奪戦(妖力・魔術抜きの肉弾戦)をやって 啓太に大怪我をさせてしまった前科があるのだ。 このマントはその折赤道斎が侘びにといって持ってきたものである。 「これを着ていれば大抵の事はなんとかなる、だから時子を許してやってくれ」と。 故にようこ達は止められない。啓太がこのマントを着るとき。 それはすなわち自分達が暴走して啓太に怪我を負わせかねない。 そう言う状況だと啓太が宣言する事なのだから。 ちなみにこのマントを持って来た時、赤道斎は啓太に“相談”を持ちかけた。 大妖孤が「うちの娘婿は」と、川平啓太をすでに身内であるかのように 自慢していくので大変ストレスを感じている、と。 そして、最初から我が子孫である時子のことを拒絶してくれるな、 と頼んでいったのである。 要するに、ようこ(=大妖孤側)だけひいきしてると暴れたくなるぞという脅しだ。 身を守るアイテムをもらったのはいいものの、吉日市の平和のため、 ひいては日本の平和の為に赤道時子の暴走を甘んじて受け止めねばならなくなったのだ。 かなり割の悪い「プレゼント」であると啓太は思っている。 実はこれを着ていると変態に縁が深くなったり裸にされたりしやすくなる、 という呪いが密かについており、割が悪いどころの騒ぎではないのだが、 啓太はそれを知らない。 さて、廊下に出た啓太ではあるが、ともはねの姿を見てぴくりと眉を上げた。 ともはねの反対側の手には啓太の通学用カバンがあったのである。 しかもともはねは体をマントのように覆う大きな布1枚。その下はすっぽんポンである。 足元にはともはね用の靴や服の入ったとおぼしきリュックがおいてある。 ムジナのマロンがいないが、このリュックの中にいるのだろうか? なるほどな、と啓太は納得した。啓太は白銀のマントを学生服の上にばさりとはおった。 戦前に使われていた、肘まで位の長さのマントの下に、膝下までの長さのマントが 重ねられているタイプだ。内側の長いマントの両脇部分にはスリットが開いており、 着物を着たまま袖をそこから出せるようになっている形状だ。 啓太は、自分のカバンとともはねのリュックを持つと、10メートルほど 離れたところにある開け放たれた窓に歩み寄った。 どよどよどよ、砂漠の精霊達が廊下をふらふらと並んで飛んでいく。 遅れて部屋を出てきた光が腕時計を見ている。20秒が過ぎるまで、あとわずかだ。 ともはねの姿が、劇的に変化した。小学生程度の背の低い、 胸もお尻も発達していないスルペタな体が、見る見るうちに大きくなり、 白い毛が生えて、体長2メートル以上の巨大な犬の姿になる。犬神の本性だ。 特筆すべきはその尻尾。普通なら1本の尻尾が、二股に裂けかけている。 わずか12歳にて基礎霊力550TI、「紅」「紫刻柱」「影縛り」「縮地」「石化」 と様々な力を身につけた天才振りを証明しているかのようだ。 (ほとんどはまともに使えないが) 21秒目。リビングの入り口にいた光が小さくバッテンを作ると歩み寄ってくる。 リビングの中からはなにやら物騒な音がし始めている。平和解決は失敗したようだ。 啓太は犬形態になったともはねの背に乗って、窓からから空に飛び立った。 光は、少しでも時間を稼ぐために“啓太のような気配”でその場に残った。 しかし、その程度のごまかしではいかほどの効果も無い。 「啓太!?」 「川平君!?」 「啓太君!?」 「「「にげられた~~~!!!」」」 はるか後ろから、待ちやがれとか待ってちょうだいとか ともはねが横から掻っ攫った、とかいっている少女達の声が聞こえたが、 そんなのは無視である。ともはねはひたすら速度を上げた。 すぐに時速200キロを突破する。 「ありがとうな、ともはね。お前は本当に役立ってくれるよ。」 「そんな。私は啓太様の犬神ですから当然です!」 うれしそうに答えるともはね。 ともはねの耳にはカエルの形をしたヒスイをはめ込まれたイヤリングが。 啓太の耳には熊さんイヤリングが光っている。 ともはねは、光との契約を解消し、啓太と契約を結び直したのだ。 ようこも反対しなかった。それに力を得たのか、たゆねやごきょうや、 ふらのまで啓太との再契約を持ちかけてきたのだが、ようこの大反対で 今のところ保留となっている。時間の問題、という気もしているが。 光とカオルを含めた3人に、新たに契約してくれと押しかけてきている犬神たちも多い。 「それに、啓太様を送った帰りに薬草採取に行くつもりなんです。 そのついでなんですよ。道具もリュックに入ってるんですよ?」 「PSPや移植シャベルかい?」 「ええ!」 二人は楽しく会話しながら、順調に高校目指して飛行していた。 が、それもすぐに終わりを遂げる。 「右っ!」 啓太が突然短く指示を出す。ともはねが進路を急激に右へと変える。 二人の進路のわずかに左の空気が消滅して竜巻が生まれる。 「左っ」「降下!」「増速!」 啓太の指示に、ともはねが的確に飛行軌道を変える。 その度に空気が消えたり赤い光が瞬いたり紫色の結界やらようこやらがあらわれたり、 と、まるで3Dシューティングゲームの様相を呈し初める。 慣れたもので、啓太もともはねもまったく動じず、むしろ楽しそうにすっ飛んでいく。 突如としてなじみの無い気配がすると同時に、二人の目の前に 銀色の鏡のようなものが現れたそのときまでは。 止まることも避けることも出来ないタイミングで現れた銀色の鏡は、 二人(もしくは一人と2匹)を飲み込むと、すぐに、消えた。 銀色の鏡に飲み込まれた次の瞬間、啓太の魂を衝撃が襲った。 自らの心を強制的に広げられ、何かを付け足されるかのような感触。 己の心を縛ろうとし、あるいは操ろうとする赤道時子の言霊にも似た圧力。 それは白山名君と2度にわたって行った契約のそれにも似た、 しかし押し付けがましく異質なものであった。 普通の人間なら容赦なく意識を奪われるだろうほどの衝撃。 何の攻撃だ、と考える暇も無く、景色が一変する。 空を飛んでいたゆえに空と見下ろすビルであった景色が緑の草原に変わる。 ともはねの足が草に触れて急減速され、いきおいまってもんどりうち、 背中に乗っていた啓太を弾き飛ばす。啓太はとっさにカバンとリュックを 抱えて前転の要領で受身を取った。ごろごろと転がって速度を殺す。 赤道斎のマントをまとっていなかったら、それは成功していただろう。 マントが何かに引っかかって態勢を崩す。半回転してベクトルが変わる。 啓太はとっさにお尻から落ちようとし、それに成功はしたものの 勢いでズボンが半脱げになって脚の動きを妨げられた。 後方でんぐり返りの要領でごろごろ転がり、なんとか止まったときには、 さすがの啓太も三半規管が限界を迎えていた。 そう。フルチンでまんぐりがえし状態になっていることにも気づかないほどに。 ずるりとリュックとカバンが啓太の手から地面に落ちる。 フリチンまんぐりがえしな啓太の目の前には。 マントを身にまとい、タクトのような棒を持ったピンクブロンドの美少女が一人、いた。 「いっいっいっいっいっいっいっいっいいいいいい!!!!!」 「うぎゅ~~~???」 「いっや~~~~!!!!!!」 ぼ ご っ その少女が、絶叫と共に全力キックを啓太の股間にむけて放ったのは、 ある意味ひじょ~~に当然の事なのであると思われた。 前ページ次ページいぬかみっな使い魔
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59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 10 49 36.67 ID cGgoc351O ゼロの使い魔 使い魔が一匹もおらず仕方ないので自分でなんとかしました 837 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/01(木) 08 42 40.07 ID ISV9IunIO 59 使い魔であるピンク髪の女の子が「良いわね?行くわよ」の掛け声と共にイヤリング爆弾で敵を葬り去る まだみぬご主人様を探すために 160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 12 08 06.22 ID d1uPUwgO0 ゼロの使い魔 ツンデレ幼女魔法使いに召還された使い魔がメイドといちゃいちゃしつつ長門にちょっかいをかける話 そしてそれをツンデレ幼女にやきもちやかれる 269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 13 28 28.26 ID PV6UskiYO ゼロの使い魔 ゼロと呼ばれる天才魔術士が黒魔術に手を出し、ルイズという悪魔を使い魔とした。 しかし不幸な偶然が重なり舞台を変えてギャンブルで争いあうことに… 321 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 14 03 34.55 ID +YuxCU8M0 ゼロのつかいま ロックマンの続編 354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 14 29 59.13 ID +/W8V6y8O ゼロの使い魔ってどんな話? 359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 14 36 14.26 ID uZ0I99qB0 354 ゼロの使い魔 トリステイン王国に恨みを持つ少年、主人公ルルーシュ・ランペルージは謎の少女ルイズから、武器を自在に扱える力「ギアス」を与えられることになる。ルルーシュは仮面で素顔を隠して「ゼロ」と名乗り 自称正義の味方「ハルケギニア」を結成し、トリステイン王国に戦いを挑む。 361 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 14 36 51.71 ID OvnsEnhz0 359 混ぜるな危険 362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 14 38 05.51 ID +/W8V6y8O 359 まんまギアスじゃねーかw 367 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 14 40 12.25 ID Spl9UEq/O 354 ゼロの使い魔 魔法大学に通う青年・ゼロが主人公。 ある雨の振る日、一人の美少女が道端で倒れているのを助ける。 そしてその美少女は、元マスターに捨てられたために行き倒れになっていた低級使い魔だった。 美少女使い魔とゼロの奇妙な同居生活を描いたドタバタ恋愛学園コメディ。 373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 14 42 41.43 ID +/W8V6y8O 367-368 ちょっと面白そうだな 368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 14 40 37.29 ID 2mXwYkvq0 354 ありふれた日常を打ち崩す光が空から降り注いだ その時、突如ゼロ次元から現れた神の使い魔「ゼクス」 高校生の主人公とヒロインはゼクスにある”力”を与えられる 使い魔はこの混沌とした世界を救う救世主か? はたまた終末をもたらす悪魔なのか? カタストロフラブストーリー 371 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/04/30(水) 14 42 14.36 ID 1TGAHhyd0 354 ゼロの使い魔 コードギアス1期と2期(R2)を繋ぐ作品。 ブラックリベリオンの後、バラバラになった黒の騎士団を再建すべく黒の騎士団の一般兵士だった主人公は「ファミリア」と名乗りゼロの意思を継ぐ為に戦う。 ちなみにR2で最初にゼロを庇って死んだのがファミリアだったがその事実はあまり知られていないようだ・・・。 375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 14 43 54.67 ID +/W8V6y8O 371 またギアスかよwww 750 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 22 52 56.11 ID JX9a05j60 745 昔はマジでNHKに入社したりNHKの仕事を紹介したりするマンガだと思ってた ゼロの使い魔 天才数学者が数の悪魔「ゼロ」と戦う物語 753 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 22 55 41.39 ID N3FN0yeC0 ゼロの使い魔 コードギアスのスピンオフ作品 481 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 15 56 41.17 ID UNy/vdZ6O ストーリーっていうかイメージ ルイズフランソワーズ・ル・ド・ラ・ブァリエール 主人公の名前が長い とにかくかわいいらしい 多分外人 ルイズルイズルイズ!!!!くんかくんかくんかくんか!!!!!と、よく言われる VIPで毎日スレが立つほど大人気 可愛い
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ここは住民の作成したオリジナルカード案を作成するページ(カテゴリー用)です。 気軽にご参加ください。 モンスター用のページその1はこちら 魔法用のページその1はこちら 罠用のページはこちら EXデッキ用のページはこちら テンプレート カード名 種類 レベル 属性 種族 ATK DEF 効果 元ネタ 例 寝坊助の門番 通常モンスター レベル2 地属性 戦士族 ATK/1000 DFE/1000 効果:なし 元ネタ:紅美鈴(東方紅魔郷) モンスター ゼロの使い魔 才人 儀式モンスター レベル10 地属性 戦士族 ATK0 DEF0 効果:このカードは通常召喚できない。このカードは「使い魔の儀」の効果以外で特殊召喚できない。このカードの攻撃力は、自身の初期ライフと現状のライフの差分が攻撃力となる。また、現状のライフが自身の初期ライフより高い場合、このカードの攻撃力は0となる。このカードが存在する限り、相手はこのカード以外のモンスターを攻撃・効果対象にできない 魔法 使い魔の儀 儀式魔法 効果:ライフを1000支払う。手札・またはフィールドからレベルの合計が10以上になるように生贄を捧げ、《ゼロの使い魔 才人》を手札から儀式召喚する。 デルフリンガー 装備魔法 効果:《ゼロの使い魔 才人》にのみ装備できる。このカードを《ゼロの使い魔 才人》が装備しているとき、《ゼロの使い魔 才人》を対象とするこのカード以外のカードの効果を無効にする。また、自分のスタンバイフェイズ毎にデッキからカードを1枚ドローする。 コメント 自分が編集中に他の人が編集を完了していた場合、 そのままページ保存をすると他の人がやっていた編集が消えてしまうので注意しましょう。 (2013-11-06 01 41 11) テーブル内の改行は「 b★r()」←★を消す、で行ってください (2013-11-05 10 49 10)
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前ページ次ページいぬかみっな使い魔 いぬかみっな使い魔 第17話(実質16話) その日。アルビオン王党派軍は、タインアンドウィア州タイン川沿いの 優位地形を利用して布陣、数日に渡ってレコンキスタ軍の猛攻を防いでいた。 現在の地上戦力は、レコンキスタ4万3千。アルビオン1万8千。 優位地形を利用して消耗を抑えているが、ぎりぎりの数字である。 正史ではアルビオン王党派は、すでに決定的な敗北を喫し、 ニューカッスル城へ向けて苦しい撤退戦を開始しているはずであった。 だが、未だに持ちこたえている。その理由は、航空戦力にあった。 今現在上空に展開している艦隊の数が、双方同じくらいなのだ。 正史なら昨日の艦隊決戦で大敗北を喫し、王党派の敗北が決定的に なっていただろう。だがトリスティンが艦隊の集結を行っている、 さらに他国の艦隊が一部すでにアルビオンに侵入している という情報を得たレコンキスタは、艦隊の多くを警戒と迎撃に備えて 下げざるを得ず、決定的な戦力差を作れなかったのである。 結果、遠くから牽制しあうだけであり、未だに雌雄を決し切れていないのだ。 王軍陣地で、アルビオン国王ジェームズ一世が、御輿状の玉座に座って、 全軍を前に演説していた。脇には老将パリー卿の姿も見える。 王太子ウェールズ・テューダーは王立空軍本国艦隊旗艦に乗って上空で警戒中だ。 「諸君! 今まで我らは孤立無援のままレコンキスタと戦ってきた! 王城を1年半前に反乱によって奪われ、補給に苦しみ、裏切りによって敗北し、 ここまで追い詰められてきた! だが、やっと! やっと他国からの援軍が来た! 我が弟が婿入りしたトリスティンが中心となり、ロマリアやゲルマニア、 ガリアの連合艦隊がレコンキスタ艦隊を引き付け、あるいは急行中とのことだ! 見よ、レコンキスタの艦隊は迎撃に割かれて前線から激減している!」 数日前と比べれば、確かに数の減った敵艦隊。 「敵は禁忌とされる水の洗脳薬や魔法で我がほうの指揮官を操り、 裏切らせて来た事が判明した! われらは、心を操る外法を使うレコンキスタの 奴らに懲罰を与えねばならん! 主がありえない裏切りをしようとしている、 そう思ったら遠慮なく止め、押さえつけるのだ! 主の正気を取り戻す ことは必ず出来る! 解毒薬を手に入れるまで、レコンキスタに さらわれぬように保護するのじゃ! レコンキスタに下ってしまえば、 永久に薬で操られたままとなる! 皆のもの、奮い立て! 操られた同胞を奪い返し正気に返らせ救うために、勝たねばならん!」 それは、宿将すら裏切るのであればと王党派を見限るものが出ていた 状況を鑑みれば、まさに朗報であった。あれは彼らの意思ではなかったのだ。 正気に返れば、また我らの味方となってくれるのである。 「救援艦隊がレコンキスタ艦隊の封鎖を突破して上空に到着した暁には 反撃に転じ、われらアルビオン軍の雄姿を連合艦隊の諸君に見せてやろうぞ!」 怒号のごとき歓声が上がる。皆、希望の光に歓喜していた。 この演説は兵士達に安堵と士気を与え、裏切りを打診されていた 門閥貴族達には踏みとどまる重石を与えたのであった。 その一方、レコンキスタ軍は盛大に士気が下がっていた。 「閣下、なにやら怪しげな噂が広まり、傭兵達の士気が下がっております。」 「いかがいたしましょうか? すでに、傭兵達の中には脱走するものも!」 「脱走する者は傭兵のみではありません!」「メイジも、でございます。」 「古参貴族にまで動揺範囲が広がっております!」 「あの情報は握りつぶしたはずなのに!」「傭兵達から広まったようです。」 「未確認ですが多数の手紙が貴族達にばら撒かれているとか。」 「切り崩し工作されているということか!?」「そこからの情報と言う線も。」 「それどころではありません、アルビオン各地で不穏な動きが!」 「報告を分析したところ確認しただけで十数騎の竜騎士が暗躍中の模様。」 「隠れおおせている者を含めればその倍にはなるかと。」 「ロマリアの黒色枢機卿艦隊の目撃情報はこのラインに沿っております。」 「予想位置はここです。」「ゲルマニア艦隊の予想位置ははここに。」 「とはいえ、あくまで予想位置。全力で探させてはおるのですが。」 「いまだ、補足したとの報告はございません。」「どこに隠れたか。」 「ガリア艦隊はまだ情報がありません。進入はされていないかと。」 「トリスティン艦隊はまだラ・ロシェールを出たとの報告はありませんが。」 「これでは動きが取れん!」「我が方の艦隊を分散させすぎではないか?」 「しかし、これ以上集中しては即応できず好き放題に蹂躙されるぞ!」 「閣下!」「いかがなされます。」「閣下!」「ご指示を!」 クロムウェルは、泰然と上座に座って軍議を聞いていた。 まったく動揺が見られない。その横には、奇妙な服を着た青年が立っている。 黒い髪、黒い目、黄色味の強い肌、やや低い鼻。服装は、長めのマントの上に 肘までの長さのマントを重ねるものをはおり、詰襟のついた黒い服の上下だ。 精緻な彫刻のなされた金ボタンがいくつも前の合わせや袖口に並び、 小さな紋章などが襟に刺繍されている。七宝の襟章があるが、あまり豪華ではない。 特筆すべきは、その手に持つ奇妙な箱だ。厚さはせいぜい数サントほど、 数十サント四方ほどの長方形の灰色の平たい箱は、材質が良くわからない。 ゲルマニアの寄木細工のように、細かい切れ目がいくつも走っている。 装飾は、かじりかけのリンゴを意匠化したものが浮き彫りになっており、 そこだけ色がついていた。 「どう、思うかね?」 クロムウェルは、傍らの青年に意見を聞いた。 「は、少なくともガリア艦隊は来ないと確言できます。内通者からの 情報から見て確かにございます。ロマリア艦隊も、戦列艦がガリア上空を 通過したという報告がまったくございませんので、すでに進入されている としても戦列艦はごく少数かと。数が20隻弱との情報は複数から同じ情報が 入っているので信用できますが、陣容は不明もしくは矛盾だらけです。 ゲルマニアも、多くの戦列艦が消息を絶ったという報告はございません。 となれば、よほどうまく儀装しているか、あるいはごく少数と考えられます。 揚陸用に輸送船を連れてきているだけかもしれません。それならば情報の 欺瞞も簡単でございますし、収集した情報との齟齬もございません。 結論ですが、脅威度は低いかと。」 「ふむ。君の情報分析はいつも素晴らしい。」 青年の発言で、焦りに満ちていた軍議の場が、一気に沈静化した。 「閣下、その青年は?」 「私が招聘したサイト・ヒラガ君だ。彼はエルフと年中戦争している ロバ・アル・カイリエの軍人家系の出身でね。膨大な戦争の歴史を知っておる。 ハルケギニアにない技術知識、そう、エルフから奪い取った技術も。 君達もサイト君と親しくしたまえ。現在生産中の長砲身のカノン砲の設計図、 そして高品質な鉄の効率的錬成法は、実はサイト君のもたらしたものなのだよ。」 「おお!」「なんと!」「東方から!」「エルフから奪った技術!?」 「そうだ。彼のもたらした技術があれば、多少の士気低下や戦力差など なんら問題ない。それとね。今流れている噂。私の虚無がまがい物だとの噂。 あれは、わずかに真実が含まれている。それゆえに厄介だが、 真実さえ広めてしまえばなんの問題もない。」 そう言って、クロムウェルは指輪をはめた腕を掲げた。 「これは、始祖がエルフから奪い、我らに残したとされる秘宝、ニーベルング。 虚無という強大かつ消耗の激しい魔法の負担を軽減するアイテムだ。 無論、アンドバリの指輪などではない。エルフからもたらされた、といえば そう言えないこともない。始祖ブリミルによってはるか昔に奪い取った事を そういうのであれば、ね。当然、私がエルフと通じているはずがない。 そして、強力な魔法を使うときに触媒や魔力の強い杖を補助とすることは 当然の事であり、消耗を抑えるために使うことになんら恥じることはない。 それを、卑怯な敵は捻じ曲げた噂をばら撒いて動揺を誘ったのだ。 君達まで動揺してはならない。真実を知らせ、動揺を取り除くのだ。」 そういうと、クロムウェルは幕僚のうち1人に目を向けた。 「では、早速触れを出してまいります。」 「うむ。」 鷹揚にうなずく。ついで、艦隊を指揮している幕僚に目を向ける。 サックス・コーバーグ・オブ・サウスゴータ。 彼がレコンキスタを組織した頃からの宿将だ。 「一通りの情報は集め、警戒をしすぎる必要が無いことはわかった。 トリスティン艦隊に備えているものを除き、半数を引き上げ、 この地に集結させるのだ。今度こそ憎きアルビオン王党派を叩き潰す!」 「「「「「おおおお!!!」」」」」 一同から、雄たけびが上がった。 啓太達は、比較的船足の速い小型輸送船の甲板にいた。 ともはねのツインテールと先の割れた白い尻尾が風にたななびいている。 ともはねの足元にあるのは、方位計である。方位磁石でなく方位計だ。 船の大砲等の積荷に反応せず、盤面の上が常に北を向くようにし、 さらに水平を保つようにするには、今の技術で作れる磁石型では無理なのだ。 「破邪走行、発露、ともはねスペシャル!」 ともはねの親指が、くるくると動く。そして、方位を啓太に知らせ、 遠め、近め、普通という距離を。一つ、複数、たくさん、という数を知らせる。 それを、後ろに立って大きなテーブルに地図を広げた啓太が記録していく。 同時に、啓太のパソコンに情報を入力する。次いで、啓太とともはねは 5キロほど離れた似たような船に移動し、同じ事を繰り返す。 啓太がエンターキーを押すと、必要な情報が浮かび上がった。 信号手が、啓太の指示に従って信号を送る。送り先は左右それぞれ10キロ を航行中の2隻の大型輸送船だ。間に5キロ離れた2隻の小型船がいるので、 25キロ離れている計算になる。 その船の甲板では、啓太の書いたお札をはがし、船倉に繋がる 大型ハッチを開ける作業が始まる。そこから、のそりと巨大な幻獣達が 這い出てくる。ドラゴン達だ。彼らの押し込められていた部屋は、 外壁中に啓太の書いたお札がべたべたと貼られていた。 気配隠蔽のお札である。 「ふ・・・前に押し出したレーダー駆逐艦で敵航空機を補足、 後方の空母から戦闘機を発進させて攻撃する。太平洋戦争でアメリカが やった戦法。対して日本は空母や戦艦に搭載したせいで逆探知を恐れて ろくに活用できなかった。性能も悪かったしな。 それを日本人の俺がハルケギニア風にアレンジして使うとは、痛快だな。」 三角測量で敵のドラゴンの位置を補足、必要充分な戦力を送って 確実に潰していく。これが、啓太の作戦の第3段階だ。 ※第1は情報の流布と欺瞞工作、第2はラ・ロシェールの偽装と商船拿捕。 4隻とも硫黄や傭兵を運ぶ民間船に偽装しているので見つかっても困らない。 もし見つかって撃墜されても、雇った本物の民間船なので腹は痛まない。 船長達には、戦争が終われば船の損傷如何によらず徴発した硫黄船の中から、 より大きくより新式の船をやると言っているので士気は高い。 後方20キロ、さらに後方20キロに連絡船が飛んでおり、同じ情報を トリスティン艦隊に送っている。これで、取りこぼしがあっても対処可能だ。 2時間ほどで20騎以上の竜騎士を撃墜もしくは拿捕・降伏させた 啓太達(ともはねとの共同撃墜6から9へ上昇)は、同時に レコンキスタ艦隊の正確な位置と高度、陣容、移動方向を把握した。 「上等な戦果じゃねえか。計画は、第4段階だな。よし、退却!」 小型高速輸送船2隻、連絡船2隻は、大戦果を抱えてトリスティン 先遣艦隊と合流した。竜輸送用大型船2隻は、少し離れた高い高度を航行し、 他の輸送船はかなり後方をつかず離れずの距離でついてくる。 艦隊旗艦メルカトール号に戻った啓太は、特別にしつらえた船尾最上甲板にある アンリエッタ王女用玉座の脇に立った。竜騎士の伝令がひっきりなしに飛び交い、 戦いの準備であわただしい艦の様子が良く見える。姫の周りには、 4つの大きな蛙の石像が配置されている。さらに船尾最上甲板の 四方に儲けられた台にも、大きな蛙の石像が固定されている。 啓太の反対側には、艦隊指令ラ・ラメー伯爵、艦長フェヴィスが立ち、 後ろにはともはねとルイズが控えている。さらに後方には、 風、水、土、火の各学院生が控えている。いずれもラインメイジだ。 伝令が階段を駆け上がって報告する。 「風メイジ達を全員起床させました。気分爽快、気力は充分とのことです!」 「よし! 姫殿下、御下命を!」 艦隊指令ラ・ラメー伯爵が促す。アンリエッタは一つうなずくと、 立ち上がり手すり越しにメインデッキ上に居並ぶ将兵を睥睨した。 「皆のもの! 始祖ブリミルの教えをないがしろにし、 始祖ブリミルの魔法虚無を冒涜するレコンキスタを叩き潰す時が来た! これは戦争ではなく蹂躙である! 我々は戦う必要すらなく、 ただ蹂躙し、戦利品を勝ち取ればよい! 下劣な異端どもを相手に 一片の情けもかけるな! ただし、強制され、騙されていたもの、 恭順の意思を持つ者達には情けをかけてやることを許す! 我らの崇高なる聖戦を、始祖ブリミルにご照覧いただくのだ!」 ものすごく高飛車で敵を見下した演説である。 だが、この演説に皆が熱狂していた。その通りであると知っていたのだ。 艦長が声を張り上げる。 「全艦、全舷砲戦用意!」 両舷ではない。全舷砲戦用意、である。トリスティン艦隊は、 艦の後方と前方に、申し訳程度であるが大砲を装備していた。 魔法の突貫工事ですえつけたのである。 啓太の情報に従って雲を回避してトリスティン艦隊が高度を取っていると、 同じく雲を迂回していたレコンキスタ艦隊の斜め上方へと出た。左舷に見下ろす 形になる。まだかなり距離が遠く、とても砲弾が届く距離ではない。 だが、提督の合図に従い、艦長が伝声管に向かって声を張り上げた。 「よし、魔法の使用を許可する! 呪文唱え! 左舷、よ~い…撃てっ!!」 轟音と共に、左舷一斉砲撃が行われた。届くはずのない砲弾が、 やすやすと敵艦隊の先頭3隻を砕く。恐ろしい命中率だ。 本来なら、遠距離砲戦での命中率は錬度の高い艦隊でせいぜい数%。 しかし、トリスティン艦隊は、超遠距離からの砲撃で 10%近い数字をたたき出した。高度で差をつけられている レコンキスタ艦隊にとって、脅威どころの話ではない。 それぞれの大砲には、全員メイジが就いていた。念動の呪文を砲弾にかけ、 飛距離を伸ばし、遠隔操作で敵艦に当たるよう軌道修正したのである。 本来なら遠距離の念動は多大な消耗を伴うが、秒単位で済む事と 砲弾そのものが人間などと比べると軽いこともあり、さほど消耗しない。 第1斉射で先頭を航行していた3隻の小型船が大破した。 艦隊指令ラ・ラメー伯爵が声を張り上げる。 「斉射3連旗を上げろ! 回頭面舵! 狙いは4隻目中型艦!」 この場合当然そうなるはずなので予想していた信号手は即座に信号を上げた。 メルカトール号艦長フェヴィスが声を張り上げる。 「面舵一杯! 魔法全開!」 全艦が急速に船尾をレコンキスタ艦隊に向ける。風メイジが風を操り、 その他のメイジが帆を動かして船員達の操船を補助しているのだ。 どんな熟練した船員の乗る船よりも早く、90度回頭は終了した。 「第2斉射! 狙え! よ~い…撃て!!」 4番目の中型艦、もう少し大きければ戦列艦に加えてもよさそうな艦の 上部甲板が一撃で破壊され、メインマストが折れる。 「面舵一杯! 魔法全開!」 「狙いは前方艦は5隻目中型艦! 後方艦は6隻目軽戦列艦! 当艦は6隻目!」 「第3斉射! 狙え! よ~い…撃て!!」 トリスティン艦隊とほぼ同数でより大型のレコンキスタ艦隊は、 大砲の門数で言えば2倍もの戦力があったにもかかわらず、 1発の反撃も出来ないままに7隻が大破した。 そこに、トリスティンの竜騎士隊が現れて急降下する。 レコンキスタ艦隊は、まだトリスティン艦隊は遠いだろうと偵察のみに竜騎士を 繰り出し、残りを船倉で休ませていた。 アルビオンのラ・ロシェールへの接近時期と、監視に常駐させていた 密偵からの報告で油断していたのだ。むしろ、密偵からの報告ら判断して、 今ここまでの警戒をすることに多大な不満を抱えていたくらいなのである。 啓太の情報管制の勝利であった。 先ほど竜騎士隊をほとんどやられ、竜騎士隊がやっとの思いで発艦したとき、 すでにトリスティン竜騎士隊は攻撃直前だった。総数も多い。 この条件では、いくら錬度の高いといわれるアルビオンの竜騎士といえど かなうわけがない。あっという間に蹴散らされた。 ついで、マンティコア隊が発進した。それぞれの鞍にはロープが結び付けられ、 一定の長さごとに青銅製の取っ手が数個ずつ取り付けられている。 それを掴み、レビテーションを使ったメイジ達が、マンティコア並の高速で レコンキスタ艦隊に迫った。フライならば同時に魔法を詠唱するのは至難の業だ。 しかし、レビテーションなら難易度はかなり下がる。 マンティコア隊隊士が張る結界魔法で弓や銃弾を弾き飛ばし、 艦上に強行着陸するメイジ隊。土メイジが、チョコレートそっくりの 色と手触りをし、蛙の形をした秘薬を数個掴んで甲板にばら撒く。 呪文を唱えると、甲板の床、すなわち木の板を錬金したゴーレムが次々と 立ち上がり、切り込んできたメイジ達を迎撃しようとした水兵達に立ち向かう。 「我、青銅のギーシュ! グラモン元帥が息子、ギーシュ・ド・グラモン、参る!」 空の上、土のない場所では土系メイジの力は半減する。 しかし、啓太の秘薬、土のチョコがあれば。土のチョコは、大地にばら撒けば 濃縮されたミネラルと栄養分によって大地を豊かにする素材で作られており、 さらに啓太が、スクウェアクラスの力を持った啓太が大地の力を込めた物だ。 多少の固定化で防御してあっても、錬金を止められるものではない。 やろうと思えば空気からワルキューレを合成することすら出来る。 切込みでの数の劣勢はこの瞬間消え去った。 「我は風上のマリコルヌ! マリコルヌ・ド・グランドプレ、参る!」 六角棍を持った反対の手に風石を持った太っちょのマリコルヌが、 啓太の作った水の軽石を持っているクラスメイトの水メイジと協力して 魔法を唱える。強化ウォータープレッシャーと強化エアハンマーだ。 放つのは、上甲板にいる水兵たちではない。 穴だらけになった上甲板の下、砲列甲板に並ぶ大砲と砲撃主たち、 ではなく、彼らの周りに積まれた火薬達だ。 ズバッシャ~~~ン! 軽い津波のごとき勢いを持って、砲列甲板は水浸しになった。 当然、水浸しになった砲列甲板は砲撃が不可能になる。 トリスティン艦隊を向いた右舷砲列甲板は、この瞬間大破したも同義となった。 さらに火メイジが帆に火を放ち、ギーシュのワリュキューレが暴れまわる。 この戦列艦には3人のマンティコア隊士が切り込んでいて、彼らと同じ 4人一組のチームを各2組、合計6組運んでいた。 27名ものメイジによる無力化工作。艦の周りには多数の竜騎士。 トリスティン艦隊からはすさまじい砲撃間隔での間断ない砲撃。 「降伏せよ!」 魔法衛視隊マンティコア隊員が艦長の首に杖を突きつけると、 この戦列艦はあっさり降伏した。 そして、同じような部隊を降下させられていた他の戦列艦もまた、 あっさり降伏したのであった。 前ページ次ページいぬかみっな使い魔
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東京魔人學園伝奇シリーズから、『陽の黄龍の器』こと、 緋勇龍麻 ゼロの使い魔人-01 ゼロの使い魔人-02 ゼロの使い魔人-03 ゼロの使い魔人-04 ゼロの使い魔人-05 ゼロの使い魔人-06 ゼロの使い魔人-07 ゼロの使い魔人-08 ゼロの使い魔人-09 ゼロの使い魔人-10 ゼロの使い魔人-11